中国の悠久の歴史や文化を思うその多様さに、目眩む思いがしますし、 その文物の完成度の高さは、故旧博物院の文物に見る事が出来ます。 生活に根ざした工芸品も文化や生活様式の発展にともない、多様な変遷と連続した流れがあるようです。

1991年に香港・澳門(マカオ)・広州に何度も行く機会があり、中国アンティーク家具に接しました。 そのデザインのシンプルな優雅さ・作りの確かさ、特に椅子の曲線美・エッジの効いたディテール、・洗練されたデザインに驚き、また感心しました。 それらの家具や小物は、 モダンデザインのインテリアともマッチングし、無垢材の感じの良さや、古き良き物と言った安らぎと共に 現代のユニバーサルな空間に心地よい良い変化を与えてくれそうです。

元来建築のデザインを生業としており、 それまで持っていたイメージでは中国のそれは、装飾過多のゴテゴテした粗雑な感を持っていたのですが、中国の歴史的な文物に接する 毎に、完成度の高さや多様性に驚きを感じます。 それが始まりで、1995年よりアンティークの家具や生活雑器、古陶磁等の輸入・販売を始めてしまいました。

日本は中国からあらゆる影響をうけ独自の文化を発展させた歴史がありますが、 中国では宋代(約1000年前)には、椅座(イス、テーブル)の生活が一般化 していたのに対し、我が国では椅座の生活が定着しなかったのは不思議な気がします。

現在、中国本土より輸出されているアンティーク家具類は清朝後期から民国初期(70〜150年前)に作られた物が多く、材質や古さ・程度等で価格は違います。実用に使用出来る様、現地工場でレストレーションやサプリメントを施してあります。

アンティーク故に同じ物はまず有りませんが、似たデザインの家具等を探し、 現地より輸入する事は出来ますのでお気軽にご用命下さい。


● 住まいの設計 扶桑社 Interior  1999/3月号

「良き時代の風格を今に伝える清代中国・明式家具の魅力」 (記事内容へリンク)



中国伝統家具について

(画像A)

(画像B)

唐代以前、中国では、直接地面や床に席(ござ)を敷いて膝を折り座っていました(画像A) 。戦国時代以降は、寝台や寝椅子がだんだんと座具として用いられるようになり、魏・普・南 北朝の時代になると西域の椅子や折り畳み椅子などの座具が次々と中国に入ってきました(画像B)。

そのころから中国人の生活様式は、初めて直接床や地面にあぐらをかいて 座る生活から椅子に座る生活へと変化し、宋代以降には、庶民階級でも、椅子と、卓(テーブル)の生活が、定着したようです。宋時代までにのちの明清時代の家具の原型が成立し、明後期から清中期の黄金期を迎えます。シンプルで質朴な洗練されたスタイルの明式家具が完成されました。